紅屋商店(国登録有形文化財・建造物)

金物を商う紅屋商店は、現在の南房総市和田町にありましたが、明治26年長須賀に移転しました。当時、和田で使用していた建物を移築し、あらためて長須賀で開業しましたが、大正12年(1923)の関東大震災で、店舗、住宅ともに倒壊しました。いち早く復興し商売を再開するために、店舗として活用されたのが、地震に耐えて残った蔵です。大正13年3月に作業が完了したことが、店舗2階に残る墨書からわかります。震災後、長須賀一帯には、蔵を活用した店舗が数件あったといいますが、現在残っているのは、紅屋商店店舗のみです。1・2階とも漆喰塗の防火扉が設けられ、震災復興期の店舗建築の特徴をあらわしています。主屋は、店舗の東側に連続して建てられ、東西棟の切妻造、木造2階建てで、南面西端に入母屋造(いりもやづくり)の玄関が設けられています。2階に床・棚付の座敷があり、昭和初期の住まいの形態が特徴です。

(国登録)紅屋商店(館山市) (国登録)紅屋商店(館山市)