房総のミカリ習俗

(千葉県選択記録無形民俗文化財)
洲宮神社の特徴は、物(もの)忌(い)みという習慣が今も守られていることです。物忌みとは、普段の暮らしとは違いいろいろな行いを慎むことで、イチノビにはワラや竹、ほうきを触ってはいけません。昔は牛馬の餌となるワラを事前に刻んでおき、あらかじめ家の内や外を掃いておいたといいます。また、洗濯をしないという家もあります。ミカリの期間を通じて、女性は針仕事をしてはならず、針を持つと手が腫れるとされ、特に厳しく戒められていましたが、生活様式の変化によって、現在では生活への影響は少なくなっているようです。今日でも、イチノビの11月27日に、勤め人が仕事に出かけることがあっても、農業にたずさわる人は、田畑にでることはありません。花作りやレタスの栽培が盛んな現在は忙しい時期ですが、それでもこの日は、洲宮の畑に人影は全くありません。現在でもイチノビに、むやみに田畑に出てはいけないという習慣が守られているのです。