語り「布良星」

天気予報も方位磁石も無い時代の漁師が漁に出るときには、空模様と勘と経験のみが頼りでした。だから、遭難も多く、漁は命がけでした。漁で命を落とす漁師があまりにも多いことから、かつて縄船は、後家船とも呼ばれていました。時化の前に布良瀬の沖に水平線すれすれに出る星を地元漁師達は布良星と呼んでいます。漁に出て帰ってこなかった仲間の魂が星になったに違いないと最初は恐れられていましたが、今では時化になるのを教えてくれる星として、信仰に結びつき「布良星さま」と呼ばれています。