語り「日蓮上人と鮑」

日蓮上人は、今から780年前に小湊で生まれ、清澄寺で修業をしました。
16歳で僧侶の資格を取得し、名前を蓮長とし、もっと仏教を勉強したいということで17歳で鎌倉に出て、21歳まで修業を積みました。
その後、鎌倉だけでは不十分だということで、京都や奈良に行き、32歳まで、仏教だけではなく、神道や儒教や和歌までを勉強しました。そして仏教の中では、法華経が一番、お釈迦様の教えを忠実に伝えているという悟りに達すると清澄寺に戻りました。
日蓮宗を開きたいと言うと僧侶や豪族から批判され、寺から追い出されてしまいましたが、自分の教えを広めなければならないという使命感を持った日蓮上人は、鎌倉に出て行き、時の将軍に訴えようとします。
このとき、日蓮上人は、富浦の南無谷の港から出発しました。出発を前にして日蓮上人が海岸に下りていくと海の中から、助けて下さいと悲しい声が聞こえてきました。海の中をのぞくとサザエがアワビの背中に乗って苛めていました。それを見た日蓮上人がお題目を唱えるとサザエの殻に付いていたトゲが取れるのと一緒にサザエがアワビの背中から離れて、海の中に沈んでいきました。
アワビは、日蓮上人に深く深くお礼を言って感謝の気持ちを伝えました。それから日蓮上人は、鎌倉に向けて出発しましたが、当時の船は、あちらこちらに不備があり、空いた穴をボロ切れや綿などを詰めて補修している有様でした。とう