地域の自慢
上真倉地区は館山地区の東端の汐入川中流左岸に位置し、館山城の東より館山バイパス左右までの広範囲の地域です。主に農業地域で、中世には実倉(稲の倉)が多くあったため、「真倉」の字を充てているそうです。昔は穀倉地帯だったのですが、現在では急速な住宅地化がすすみ、町内は第一町内から第三町内まで分かれて、世帯数は800を超える、広域で、住民の多い地域です。
江戸時代には北下台村、根古屋村、上真倉村、下真倉村を合わせて一村とし、真倉村と呼んでいました。明治四年に上真倉村と根古屋村が合併し現在の上真倉村となりました。
館山城下に位置したことから、真倉村は里見家の直接の支配地だったことや館山城の外郭としての役割があったため、多くの寺院があります。住民たちは由緒ある地域として誇りを持ち、地域を愛し、祭りを愛し、神輿を大切にする、そんな人情にあふれた自慢の地域です。
自慢の神輿
●地区名 上真倉区
●神社名 神明神社
●屋根 方形普及一直線型
●屋根葺 白木
●蕨手 普及型
●棰 棰
●造り 地組四方正面造
●鳥居 明神鳥居
●台輪 普及型
●台輪寸法 四尺
●彫刻師 後藤利兵衛橘義光
上真倉区神明神社の神輿は館山地区の祭礼に出祭しています。絢爛豪華な白木の彫刻神輿。館山一大きいと言われる狛犬や龍の彫刻、彫り物の厚みがとても深く、圧倒的な立体感と白木の輝きの調和が見事です。
彫刻は名工初代後藤利兵衛橘義光八十五歳作。左右一面に施された牛若丸とカラス天狗の鞍馬山修行の場面を力強く表現した彫刻は特に見応えがあります。
館山祭礼は真夏に行われるため、白木神輿は特に手入れをしっかりと行います。彫り物以外の胴体に関しては約三十年に一度の御神輿の新調を行います。白木にこだわりをもち、短期で交換することで本来の白木の美しさを保っています。白木神輿の夜の輝きは、さらに特別な美しさを演出しています。
初代後藤義光の繊細で力強い彫刻と白木の美しさが輝く神輿が、上真倉の自慢です。
神明神社 館山市上真倉字羽鳥一八一九
祭神:祭神天照皇大神、素戔鳴命、高皇産霊尊
由緒: 後深草天皇建長元巳酉年(1249)、安房郡司安西孫八郎が当国四郡の男女崇拝宮として伊勢大御神をこの地に遷されたといわれている。
【神社行事】
・三月第一日曜日…御日待(おひまち)、春の祈祷、祭典を行う
・八月一日・二日…館山地区祭礼
・八月お盆前後……二日間にわたる盆踊り。やぐらを囲んで延べ五百名位参加し、現並木区長が制作した「さなぐら音頭」を揃いの袢纏を着て踊りを披露する。
・十月………………里見祭り
・十二月第一日曜…餅つき大会
・年末年始…………(除夜祭)神明神社のお守り、お札を販売。また神輿の披露も行う。
自慢の祭
上真倉の祭礼は例年八月一日「館山のまつり」に神輿を出祭します。昔の祭礼は八月一日・二日・三日と三日間行われ、広い上真倉地区の全てのお宅を神輿がまわっていたそうです。また昭和三十年代頃までは、「お浜出」にて海にも入っていたという、本当に神輿を担ぐことが好きな方が多い地区で、現在の二日間の祭礼で約三〇キロもの長い距離を担いでいます。
そんな神輿好きな地区で特に自慢できることは、「祭礼を休んだ事がない」ということです。戦時中にもお神輿を担いだという写真が神社集会場に飾られています。
上真倉には「共和会」(52歳までの青年約50名)、「眞和会」(59歳までの40名)、「長寿会」(60歳以上の50名)の三つの組織があり、昔から共和会を中心として祭礼を運営し、様々な準備を行っています。祭礼衣裳は白丁に黒足袋、それと昔の文化を残した豆絞りの手拭を大切にしています。
若い世代に神輿の手入の仕方や担ぎ方を伝えながら、上真倉の自慢と誇りである白く美しく輝く白木の神輿を自慢の祭りとともに次代へ継承して行きます。
8/1.2 館山のまつり
祭りの起源
大正三年、旧館山町(現在の青柳、上真倉、新井、下町、仲町、上町、楠見、上須賀地区)と、旧豊津村(現在の沼、柏崎、宮城、笠名、大賀地区)が合併し館山町になったのをきっかけに、大正七年より毎年十三地区十一社が八月一日・二日の祭礼を合同で執り行うようになりました。その後、大正十二年の関東大震災により、諏訪神社(下社)、諏訪神社(上社)、厳島神社、八坂神社の四社が倒壊したため、協議により四社の合祀を決め、昭和七年に館山神社として創建されました。
現在は館山十三地区八社として、神輿七基、曳舟二基、山車四基がそれぞれの地区から出祭しています。愛称「たてやまんまち」として、城下の人々によって伝え続けられてきた〝心のまつり〞です。
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このパンフレットは、地域の方々からの聞き取りを中心に、さまざまな文献・史料からの情報を加えて編集しています。内容等につきましてご指摘やご意見等ございましたら、ぜひご連絡いただき、ご教示賜りたくお願いいたします。