2番 新御堂(にいみどう)

潮音山新御堂【真言宗】 聖観世音菩薩
ご詠歌「にいみどう みあげてみれば峰の松 くびこいつる(鶴)にかめいど(亀井戸)のみず」
現在の新御堂は本来真言宗の秀満院境内地である。秀満院は大正12(1923)年の関東大震災により倒壊していたため、昭和42(1967)年に新御堂(にいみどう)が旧寺地から移転してきた。旧寺地は県道を挟んで反対側の山の中段にある。堂内には明治3(1870)年につくられた大きな大黒天像も祀られている。境内の宝篋印塔(ほうきょういんとう)は明和5(1768)年のもの。この周辺は蔵敷(ぞうしき)といい、律令時代の役所である国衙(こくが)などにいた下級役人「雑色(ぞうしき)」を意味する言葉が地名となったものであり、安房国府との関連が考えられる地域である。ご詠歌にある亀井戸が「亀ヶ原」の地名の由来といわれ、旧寺地には亀井戸が残されている。また文化年間の火災にかかるまでは、お堂へかぶるように「峰の松」があったと伝えられている。旧寺地には正徳4(1714)年の石造地蔵菩薩像が立ち、現在地への入口になる辻の六地蔵と同時につくられている。