10番 往生寺(おうじょうじ)

金清山往生寺(密厳院みつごんいん)【真言宗】 聖観世音菩薩ご詠歌「おうじょう寺 登りて見ればちしゅの花 いつもたえせぬのりのこえかな」
寺伝によれば寛仁(かんにん)元(1017)年恵心(えしん)僧都が創建し、裏山の通称観音山の頂にあった。聖観音像も恵心僧都の作といわれている。ご詠歌の「いつも絶えせぬ法(のり)(読経)の声かな」からは栄えたことが伺えるが、やがて山頂の往生寺は廃されて観音像は、阿弥陀如来を本尊とする麓の密厳院に移された。密厳院は里見氏や徳川氏から寺領30石余を与えられ、かつては山門に向かって一直線に伸びる長い参道があった。現観音堂は明治2(1869)年、密厳院本堂脇奥に阿弥陀堂として建てられたもので、明治42(1909)年に現在地へ移築して観音像を安置した。堂内には不動明王坐像、享保(きょうほう)15(1730)年奉納のご詠歌額及び明治4(1871)年奉納の句額がある。山頂には住職墓地や光明真言(こうみょうしんごん)三千万遍供養塔が残されている。