高倉山実相院真野寺 【真言宗】 千手観世音菩薩
ご詠歌「夜もすがら まのの入江の松風に おばなぞ見ゆる秋の夕暮」
2月6日の「真野の大黒」で親しまれている。寺伝によると、奈良時代の神亀2(725)年に行基(ぎょうき)が開いたとされ、観音堂の本尊は行基作とされている。室町時代初期の作とされるお面をかぶり、ご開帳のときも素顔を拝むことができないことから「覆面(ふくめん)観音」と称されている。その左右には守護神として木造二十八部衆が安置されている。外陣(げじん)にある鎌倉時代の木造大黒天立像は関東地方に残る古像としては最大級のもの。本尊とともに県の指定文化財。この大黒天は平安時代の貞観(じょうかん)2(860)年、ここを訪れた慈覚大師が参籠中に朝日が昇るなか現れた大黒天を再現したと伝えられていて、「朝日開運大黒天」と呼ばれている。欄間(らんま)には竜が刻まれており、波の伊八と称された初代武志(たけし)伊八郎信由の作である。