上のグラフをご覧ください。今月1月29日(日)、今回で32回目の開催となる館山若潮マラソンの参加応募者数をグラフにしたものです。ここ何年かの盛り上がり、何かありそうですよね?しかも約8~9割が館山市外からの応募というのですから、見過ごすわけにはいきません!ランナーをそこまで惹きつける若潮マラソンの魅力ってなに!? さっそく迫ってみたいと思います。
(2011/11掲載:H)
若潮マラソンってどんなマラソンなの?
若潮マラソンは、昭和56年(1981)から館山市で始まったマラソン大会。第一回大会では、「20キロの部」と「10キロの部」の2種目でしたが、その後距離を増やし第6回(1986)から「フルマラソンの部」が誕生、第7回(1987)では日本陸上連盟公認のコースとなりました。第15回大会から親子などの家族でマラソンに親しんでもらおうと「ファミリーの部」を新設し、現在32回大会では
・フルマラソンの部
・10キロの部
・ファミリーの部(2キロ)
と3種目を楽しむことができます。コースは以下の通り。
図からわかるように、すべての部がスタートしてから海岸ラインを走ることになります。ファミリーの部はすぐに折り返しとなりますが、10キロの部は「歩いて行ける無人島」として有名な「沖の島」の手前で折り返します。フルマラソンの部はそのまま海岸沿いを走り続け、20キロ地点から景色が小高い丘に変わります。同時にこの地点から高低差が広がりますので準備が必要です。30キロ地点で最高地点となりますが、そこを抜けると再び海岸が広がりますので、なんとか丘を越えられれば一安心です。その後は、行きの道の反対側をゴールに向かって走り切るのみ。大勢の観衆があなたの帰りを待ちわびていますよ!
エイドステーションは全部で7箇所設置されてありますので、無理はなさらずに疲れたら一休みしながら進んでください。
人気の秘訣!お二人のプロに伺いました。
さて、大体どんなマラソンなのかイメージがついたところで、じわじわと人気の理由に迫っていきたいと思います。とはいえ、ここまで歴史を築いて館山市総出で取り組んでいる大イベント!色んな方のお話を聞いてみたいものですよね。
そこで今回は、運営側・参加者側の若潮マラソンに詳しいお二人に突撃インタビューすることで、より鮮明に若潮マラソンを浮き上がらせてみたいと思います。
館山市教育委員会スポーツ課 川名茂樹さんによる ポイント解説
―ここ数年で参加者が急増しているそうですが、どういったことがあったのでしょうか?―
川名さん:
「そうですね、応募者数の変遷を年ごとに見てもらえばわかる通り、2000年から漸減しておりましたが、2008年大会以降急激な伸びで応募が殺到し、今回2012年大会の速報では08年以前の約2倍となる10102人の方の応募が集まりました。」
①東京マラソン開幕によるランニングブーム
「この理由はいろいろ考えられますが、まず始めに影響があったのは2007年に東京マラソンが始まったことによって市民参加型のマラソン大会が大きく脚光を浴びたことが挙げられると思います。」
②自然環境に恵まれたコース条件
「全国的な盛り上がりをみせたランニングブームですが、なかでも若潮マラソンがこれ程までに市外からのランナーの方を惹きつける理由としては、なんといっても館山の自然環境でしょう。
スタートして間もなくの北条海岸は、美しく波静かな特徴から別名『鏡ヶ浦』と呼ばれ、『日本の夕日百選』『関東の富士見百景』『東京湾100選』に選ばれています。また10キロ地点を過ぎますと、大島・伊豆諸島・富士山を一望することができる海岸線に入り、約6キロに渡って菜の花などの早春の花々が咲き乱れる房総フラワーラインに直結します。こちらも『日本の道100選』です。つまり、若潮マラソンのコースは、館山が全国に誇る自然の美しさを一度に満喫して頂きながらマラソンを楽しめることが大きなポイントなんです。」(館山と富士山についてはこちらの記事をご覧ください。)
③フルマラソン制限時間を段階的に延長
「また、一般の方にはあまり知られていないことですが、2009年の29回開催以降フルマラソンの部の制限時間を延長してきたことも大きな要因だと思われます。若潮マラソンは、参加者の方に思う存分自然の美しさを味わっていただきながら走ることのできる貴重なマラソンコースの一つです。そのため、参加者の方には『あまりタイムは速くはないけれど、ゆっくり景色を楽しみながら走りたい』という方もたくさんいらっしゃいます。
しかし、実際には時間延長に伴う警備や交通などの問題を解決するのは一筋縄ではいかず、29回以降段階的に延長を行うことで今の制限時間6時間を実現することができたんです。たくさんの方々の努力のもと、いざ制限時間が延長になると面白いほどに参加者が増加したことは大変喜ばしいことであるとともに、やはり参加者の多く方は若潮マラソンの『コース』を楽しみにきているということの表れだと思っています。」
(2009年大会は5時間半、2010年から6時間に延長)
④地元の人の心を尽くしたおもてなし
「当日は、館山市全体がマラソン一色になります。開催の歴史を重ねるごとに、出場者だけではなく、お迎えする市民の方々も一団となってこのイベントを盛り上げていく形ができつつあり、沿道には応援する人・ボランティアで飲食を提供される人などで溢れるんです。
もちろん市も7箇所のエイドステーションにてスポーツドリンクや水・飴玉・中村屋(館山のパン屋さん)のクリームパンなどをお配りしていますが、市民の皆さんとの連携あってからこそのおもてなしといえるのではないでしょうか。会場となる市営グランドでは豚汁や焼き芋、おしるこなども無料で食べることができますので、是非心も身体も温まっていただければと思います。」
―準備にお忙しいなか暖かくお答え頂いた川名さん、ありがとうございました!−
(注)今年から片道一車線が通行止!
すでに市内多くの箇所に張り紙が出されたり回覧が回っておりますが、去年まで車両通行制限だった道路が、今年から片道一車線通行止めになります。これまでランナーの方などの要望ではありましたが、交通を止めることには想像以上の問題が伴いなかなか実現いたしませんでした。それが今年、多くの関係者による積年の努力の結果、叶ったのですね~。心おきなくマラソンに集中できる点で、ランナーの方にとってはこれ以上にない朗報かと思います。ただし、片側一車線通行止なので、復路の「波左間海岸~宮城」区間のみ通行制限地帯となりますのでお気をつけください。
このように、若潮マラソンが1万人を超える大マラソン大会に成長するに当たって、主催の館山市はもちろんのこと地元の方や参加者の方のたくさんの提案や要望があり、それを実現化させる営みがあったことがお分かり頂けると思います。5万人の館山市に1万人の参加者が家族や友人ら引き連れて遊びにきてくれるのですから、これはとんでもない一大イベントですよね。もともと好きで参加される方も、初めて来られる方にも皆さんに館山を満喫して頂くために、今後も市民や参加者が一団となって創りあげていく館山の象徴であってほしいと思いました!
若潮走友会 鈴木順一郎さんのお話
今年で結成30周年となる「若潮走友会」というチームが館山市にあります。若潮マラソン大会出場者の中でも最も歴史が古いチームの一つで、毎年会場で行われる宣誓は走友会のメンバーの方が任されるなど、毎年大会を支えてきたチームです。
今回は、走友会のメンバーであり、館山市で喫茶店業を長年営む鈴木順一郎さんに、若潮マラソンの魅力についてお聞きしてみました。
―若潮マラソンに参加するきっかけはなんですか?―
鈴木さん:
「ちょうど43~45歳頃に、今で言う『メタボ』が原因でお医者さんから肝硬変になるかもしれないなどと注意されたんですね。お店が終わるのが夜遅かったものですから、その後に好きなものを食べていたことによると思うんですが、娘もまだ小さかったですし、『まだまだ倒れてなるものか』と真剣に健康と向き合うようになりました。昔やってた野球やウォーキングなどを勧められましたが、野球は仕事の都合上休みを合わせることができず、ウォーキングは性に合わないということで何をするか決め悩んでいたんですね。
その時にふと思いついたのが若潮マラソン。地元でやっているマラソンということで参加もしやすいのですぐに申込みました。いざ走ってみると案外面白く、これは続けてみようかなという気になったわけです。
最初の2年間は健康志向で走っていたんですが、走友会のメンバーの方と交流していくと、自分よりもずっと歳上の先輩方が、ものすごいタイムで走っていることを知ったんです。60歳近い人が悠々とサブスリーで走り抜けるんですから、これには驚愕でした(笑)。それを見てその人たちと仲良くなるうちに、マラソンは歳ではなくて日々の積み重ねなんだなぁとうことがわかり、年間を通して走るようになってからは完全にハマってしまって、今年でかれこれ20年になります。」
―若潮マラソンの良さはどういったところだと思いますか?―
「やっぱりなんといっても他所にはない景色は大きなポイントでしょうね。年が明けてから一発目の大きな市民マラソンということで、走り初めという意義でもイチオシです。
マラソンというのは、チームプレーではないから、参加への思いが一人一人違っているところがいいところ。スポーツは勝ち負けじゃないっていいますが、マラソンこそそういったスポーツの代表だと思います。その中でも若潮マラソンは単なる街なかを走ることと違って、日本全体で見ても有数の名所の中を走ることができるわけですから、色んなニーズに応えてくれるマラソンなんです。
大体私だって最初は健康志向でマラソンを初めて、今では本気で取り組んでますけど、そのきっかけを与えてくれたのは『楽しい』とか『気持ちいい』という思いを湧きあげてくれた若潮マラソンだったと思います。初心者の人もタイムを狙っているベテランも一緒になってそれぞれの楽しさを見つけることができるマラソンが若潮マラソンだと思います。
後は、一般の市民ランナーが金さんなどのスペシャリストと一緒に走れることもすごい醍醐味ですよ!仮装している選手もたくさん出場したり、地元で昔から2000個もおにぎりを握って待っててくれるお家があったりと、思わずニッコリしてしまうようなことがたくさんあります。」
―鈴木さんのマラソンにかける思いー
「先ほどもいいましたが、始まりは健康志向からだったんですが、自分よりいくつも歳上の先輩方が例えば『80歳になるまで1時間以内で10キロ走りきる』だったり『サブフォーでゴールする』といって月何百キロも走っているのを見て、かなりの衝撃と感動をうけました。そんな先輩をみてきたのでマラソンに歳は関係ないということが身にしみてますし、目標タイムに到達しなかったからといって歳のせいには絶対にしないと思っているんです。
ただもちろんこうして毎日走ってきた中で挫けそうになったこともあります。一時は走友会から離れようと思ったことも。そんなことをつぶやいた時に娘にこんなこと言われたんです。
『お父さんからマラソンとったら何が残るの?』ってね(笑)。それもそうか…(笑)と思って続けてみる中で、改めて会のみんなと高め合うことの喜びに気づきました。
タイムを競い合ってからかってみたり、上辺は冗談ばかり言って和気あいあいとやっておりますが、いざ走り出すとみんな真剣に自分と向き合って取り組んでいます。だからこそ世代を越えた付き合いができるので、応援にきてくれた家族の方やお友達なんかとどんどん繋がっていくことができて、それも含めて全部宝物です。今となっては私も最年長グループですが(笑)マラソンをやってきて良かったなぁというこの気持ちを次の世代の人に伝えていきたいと思っています。
あと、マラソンをやっている方ならわかると思いますが、続けてみて身体が思うように動くようになると、たま~にこのままずーっと走っていられるんじゃないか?という不思議な状態になることがあるんです。これを『ランナーズハイ』というのですが、あの感覚は格別!一度なったらやみつきですよ!」
若潮走友会は、大会開催当初から若潮マラソンと共に育まれ大会を支えてきた老舗チーム。マラソンというスポーツならではの魅力や楽しみ方を若潮マラソンに出場する中で発見してこられたんですね。鈴木さんのお話からは、まだまだここに載せきれないほどの若潮マラソンの魅力を教えて頂きました。ご興味ある方は是非「喫茶サンモア」のカウンターで、マスターに直接質問してみてください!館山の歴史も含めて色んなお話が聞けますよ。
また「若潮走友会」も随時メンバーを受け付けています。現在は20代から88歳のおじいちゃんまで、60名もの会員のみなさんが世代を越えて練習に励んでいます。3ヶ月に一回発行される「走友会だより」はなんと今回で173回目!すごいですね~ 写真なども見られますので、HPもチェックしてみてください。→若潮走友会
喫茶サンモアはこちら↓
参加者の方へ
子どもレポーター出動!
10人の小学生が子どもレポーターとしてランナーの方に突撃インタビューします。もしマイクを向けられた方は可愛らしいレポーターに温かくお答えいただけるようよろしくお願いいたします。
2012年第32回若潮マラソン子どもレポーター速報(館山市生涯学習課ブログ)です!!
潮風が菜の花を揺らす中、約9000人(応募者10120人)ものランナーがそれぞれのコース時間に分かれてスタートしました。前日にはコース上文化財の勉強もして、準備万端の子どもレポーターさん達も3班に分かれてランナーさんを応援&取材に向かいました!始めの方は慣れない取材に戸惑ったところもあるかもしれませんが、めげずにアタックを重ねる内にみんな名レポーターに変身☆彡アドリブでどんどん質問していましたよ。
ランナーの方も休憩中や走り終わったあと、快く取材を受けてくださりありがとうございました。当日の様子が以下の館山市生涯学習課のブログページにリンクされておりますので、是非一度読んでみてください!本当に色んな場所でドラマが繰り広げられた一日、ランナーのみなさん・応援のみなさん・スタッフ/ボランティアのみなさん、本当にお疲れさまでした!!そして素敵な思い出の一ページをありがとうございました。また来年も館山で会いましょう!!
子どもレポーターさんたちの作ったスライドショーが公開(館山市生涯学習課作成)!!
● 清本拓人さん(館山市立館山小学校5年生)の作品
● 増田冴さん(館山市立那古小学校5年生)の作品
● 渡辺可南子さん(館山市立北条小学校6年生)の作品
● 中川原和葉さん(館山市立館山小学校5年生)の作品
● 田辺玲花さん(館山市立西岬小学校6年生)の作品
● 川上栞音さん(館山市立北条小学校5年生)の作品
● 前川渚生さん(館山市立館山小学校5年生)の作品
なるべく公共交通機関のご利用をお願いいたします。
すでにご案内が届いていることかと思われますが、当日は駐車場に限りがございますので、なるべく電車やバス等の公共交通機関のご利用をお願い致します。今年は1万人を超える参加者となり、そのご家族やご友人の方も考えると例年以上に車道が混雑することが見込まれております。若潮マラソンに合わせて、東京⇔館山間バス房総なのはな号も増便しておりますので、是非ご協力ください。
館山でスポーツ、いかがですか?
「館山ファミリースポーツクラブ”わかしお”」
文部科学省が推進している、会員で自主的に運営する”総合型地域スポーツクラブ”が館山に誕生しました。クラブには多種目が用意され、だれでも、自分の好きなときに何種目でも参加することができ、活動を通して、健康づくり・生きがいづくり・仲間づくりを大きな目的としています。クラブの活動には、会員登録をして参加するか、体験参加することが出来ます。随時、会員募集中です! 毎月の活動予定は ・市広報誌「だん暖たてやま」 ・会報(市役所や各教室に置いてあります) ・市役所HP(スポーツ課)にてお知らせします。 詳しくは 事務局(館山市教育委員会スポーツ課内) Tel: 0470-22-3696までお尋ねください。 |
恵まれた自然に囲まれた館山は、スポーツをするには抜群の環境といえるでしょう。
館山若潮マラソン公式サイト 館山若潮マラソン公式サイト