神事に先だって悪魔払いの意味で奉納される神楽で、南房総・安房では神楽といえば獅子神楽を指すことが多くあります。古茂口の獅子神楽は、厄払いをもとめる家々を廻っておこなう1月15日の春祈祷の時に、また10月16日の日枝神社例祭の時に、それぞれ奉納されます。鳴り物である鼓や笛、太鼓、そして擦鐘(すりがね)などのお囃子にあわせて、二人の踊り手が舞う。奉納の演目は、序の舞、幣束の舞、剣の舞、くずしの舞と続くが、かつてはもっと演目が多かったといわれています。安房地域では、村歌舞伎をおこなう前の演目として獅子神楽が奉納されていたようなところもあり、獅子神楽と村歌舞伎は一体となって若者たちの地域での芸能であったといえます。昭和48(1973)年に館山市の指定無形民俗文化財になったものの、時代とともに後継者はいなくなり途絶えていましたが、近年、古茂口獅子舞保存会がつくられ、地域の人びとによって伝承されています。