館山市豊房地区にある山荻神社では、毎年2月26日に、その年の農作物の豊凶を占うために筒粥の神事をおこなっています。古来、事の吉凶を判定する法として神意を問うために占卜が種々おこなわれていましたが、粥を使用した粥占神事もその一つです。山荻神社の伝承によると、景行天皇が諸国巡幸のときに、この神社で筒粥を使って五穀豊穣を占ったとされる古くからの神事といわれています。筒粥神事は、祈念式を終えると、前日に作った粥を葦筒19本に入れて炊き上げたものを神前に供え祈祷をした後に、宮司により筒粥が1から19まで並べ、順次2つに縦割りにします。筒の中にある粥の量によって、米など18品目の農作物の作柄と世情を判定し、木版刷の紙札に記載して結果を知らせます。かつて農家はこの結果を作付けの目安にしたという重要な神事でした。平成5(1993)年に館山市の無形民俗文化財に指定されています。