宇畑中の巴川の川中にあり、やや黄色味をおびた塩水を湧出することで古くから知られ、地元では塩井戸あるいは弘法水と呼んでいます。実際には、天然ガスが噴き出しているのですが、この塩井戸にまつわる次のような伝説があります。
「大同4年(809)11月24日、金丸巨麻太(こまた)宗光の家臣杉浦吉之丞の妻が、夫の死後その霊を弔いながら貧しい生活をしていたところ、一人の旅僧が訪れた。その女性は小豆粥をもてなしたが、その粥に塩気がないのを不思議に感じた僧が尋ねると、貧しくて塩が買えないことを告げた。すると、僧は川に下り、手にもった錫杖(しゃくじょう)を地面にさして祈祷(きとう)した。そして錫杖を引き抜くと、塩辛い水が噴き出した。」その僧が、弘法大師だという言い伝えがあり、千葉県内に残る典型的な弘法伝説だとされています。