神余(かなまり)日吉神社のかっこ舞

獅子の腰に付けた太鼓を羯鼓(かっこ)と呼び、雄・雌・子獅子の三匹で舞う神事舞を三匹獅子舞と呼びます。安房では、雨乞いのための奉納が特徴で、とくに「かっこ舞」と呼んでいます。館山市豊房地区の神余(かなまり)にある日吉神社では、7月19日と20日の祭礼時に、獅子頭をかぶった親獅子・雌獅子・中獅子の3人の踊り手が腰に小さな羯鼓を付けて、打ち鳴らしながら舞う「かっこ舞」を奉納する。三匹の獅子が演じる「かっこ舞」は、農耕のための雨乞いであり、五穀豊穣を祈願することを目的としています。舞のときには、七色の紙を垂らして雨を表した花笠(雨滴笠)をかぶった少女が、笛に合わせて雨音を表すというササラをすり鳴らします。この約200年前からおこなってきたという神事舞は、後継者がいなく何度か中断されていたものの、近年は地元の若者たちによって復活し保存会もつくられており、平成8(1996)年には館山市の無形民俗文化財に指定されている。