全9輯98巻・106冊という長大な物語の命題は、「勧善懲悪・因果応報」にあり、ある程度史実に即しながら、正史の上では恵まれずに終わった善良な人物を取り上げ、馬琴の意のままに大活躍させています。里見の姫君・伏姫は、父里見義実の正義と名誉を守るため、飼い犬・八房に嫁し、富山中に暮らしましたが、やがて、「物類相感」、犬の気を感じて懐妊します。伏姫は、義実や金碗大輔らが見守るなか、身の潔白を証すために自害してしまいます。
このとき、役の行者から授かった伏姫護身の数珠が飛び散るとともに、過去の玉梓の悪霊による因縁や、仁義礼智忠信孝悌の八行の霊玉を持つ八犬士出現の予言が語られ、一大伝奇ロマンの幕開けとなります。
伏姫の子供ともいえるこの八犬士は、諸国を舞台に大活躍。やがて里見家を襲う危難を救うため立ち上がるのでした。