国分地区に、美しいツバキの花が生い茂った、小さな塚があります。孝子塚と呼ばれるこの塚にまつられているのは、平安時代に親孝行で朝廷から表彰された伴直家主(とものあたいやかぬし)という人です。
安房国に住む伴直家主という人は、優しい心をもった真面目な人でした。お父さんとお母さんが生きているうちに親を大切にし、親孝行をつくしていました。その両親がなくなると、今度は自分の食事や生活をきりつめて、親のために立派な墓を建てました。
また、両親の像をつくって、生きていたときと同じように食事を供え、供養しておこたることがありませんでした。
これがいつまでも続いたので、人々に知れわたり、やがて都にいる朝廷の耳にまで達しました。感激した朝廷は「このものを孝子と呼んで、生涯その税を免除してあげるように」といいました。身分も三階という位がさずかり、その家の入口には朝廷から下された「孝子の門」という大きな旗が風にたなびいていたといいます。