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1906年に建設されたこのアーチ橋は岩盤上につくられ、長さ11m、幅3mの大きさです。方形に整えられた比較的大きな地元産の凝灰岩質の砂岩を、目が横に通るように積み上げる布積という工法で築かれ、橋の両側にある石垣に接続しています。巴橋には1つのアーチしかありませんが、地元の人たちは、眼鏡の橋と呼んでいたとされています。残念ながら、図面を含めて資料は残っていませんが、地元犬石の職人島田岩吉が設計して築いた橋だと伝えられています。大正12(1923)年の関東大震災で、巴川を逆流した津波は、すごい勢いで巴橋を飲み込み、上流へと流れ込んでいったとされていますが、石積みのこの橋は、津波の勢いにも負けませんでした。また太平洋戦争中、近くの佐野にあった旧館山海軍砲術学校の戦車がこの橋を渡っても、重さに耐えたとされています。関東に残る数少ない明治期建設の石造アーチ橋です。
巴橋(館山市)
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