北条地区の長須賀で、唐桟織(とうざんおり)という木綿の織物が作られています。唐桟織は、江戸時代の初めにポルトガル人が伝えた技術で、江戸時代に流行しました。明治10年代に斎藤茂助氏が、東京蔵前の殖産所で伝習して以来同家に伝わるもので、現在、県の無形文化財に指定されています。植物染料によって糸を染めるのが特徴のひとつですが、独特の色を出すため原液を口に含んで味覚によって配合するところに秘伝があります。また織り方と、砧でたたいて出した腰のあるしなやかさも唐桟織の特色です。細い糸で薄手に織り、たて縞の模様にしたもので、光沢があって品がよく、渋みのあるところから、通の間で愛用されています。着物のほか、財布やネクタイにもなっています。
タテヤマなぜなに「伝統織物・唐桟織」へ