小網寺(こあみじ)

真言宗の寺院で金剛山小綱寺といい、不動明王を本尊とします。かつては密教道場として隆盛し、里見氏からは15石、江戸時代は幕府から25石の寺領を与えられていました。
境内には安房国札三十四観音の三十二番札所にあたる観音堂があり、本尊の木造聖観音立像は平安時代のものです。また鐘楼には国の重要文化財に指定されている弘安9年の梵鐘があり、銘文にある「金剛山大荘厳寺」は小綱寺の古称といいます。大檀那として矢作助定・大田末延の名があり、製作者は物部国光という当時一流の鋳物師です。
寺宝には県指定の密教法具21点があり、鎌倉時代のもので、横浜の金沢称名寺の開山審海ゆかりのものです。その他宝冠や絵画にも古いものが残されています。
境内の法華谷には2基のヤグラがあり、中世の五輪塔と麿崖五輪塔がそれぞれ2基づつあって、弘法大師の修行跡と伝えられています。また下堂の裏山に経塚があり、かつて写経の入った経筒が出土しています。