現在県道をはさんで山側の浜田にある社を船越鉈切神社、海側の見物にある社を海南刀切神社と呼んで区別していますが、かっては両社はひとつの神社として信仰され、浜田の船越神社を上ノ宮、見物の刀切神社を下ノ宮と呼んでいました。
船越鉈切神社には海神である豊玉姫命が祀られ、本殿は鉈切洞穴として県の指定文化財になっている洞窟の中にあります。境内には宝塔を浮き彫りにしたやぐらや、元禄6年に時の領主石川政徃が奉納した燈籠をはじめ、文化10年の燈籠や安政2年の手水鉢があり、そのほか社宝として市指定文化財の独木舟・元禄10年に紀州漁民が奉納した鰐口などがあります。
また毎年7月には市指定無形文化財のかっこ舞も行われています。浜田の高性寺が別当寺を務め、地元だけでなく船形や富浦などの漁民の信仰をうけていました。